ラミア / nyanyannya(大天才P)- SynthV Yuma
自分さえ愛せない蛇の姫
作詞作曲 nyanyannya(大天才P)
イラスト 予感子
歌唱 Synthesizer V AI Yuma
https://www.youtube.com/playlist?list=PLN97vE-trF-Vp_p6VmpuI0__MCA3_ZhI_ ※このシリーズのプレイリスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLN97vE-trF-VBdo7m2bORrEWLqc5Hug6b ※ボカロ曲のプレイリスト
🎙カラオケ音源
https://club-majesty.booth.pm/items/3154475
◆◆◆シリーズについて◆◆◆
短い文章と音楽作品の組み合わせで展開される鉛姫シリーズ「リドル・マーメイド」は心象世界カドワナルカにあるホストクラブ「マーメイド」のホスト「乃愛」の活動を追うことで物語が展開されていきます。音楽作品はそれぞれ彼が対峙した妖怪(あやかし)と呼ばれる女性客をモチーフに描かれ物語に奥行を追加してくことになるでしょう。
◆◆◆ストーリー導入文(フレーバーテキスト)◆◆◆
「そもそも死なないってのはいいもんじゃあない。ましてや孤独ならね」
クラブ『マーメイド』の煌びやかなシャンデリアの光を背に、支配人であるアリカは深紅のソファに腰を下ろす。微笑みを浮かべながら語り始めたその声は、低くも透き通るように澄んでいた。
「フフフ……だからと言って定命になりたいとは思わないよ」
アリカは小さく口角を上げて笑う。その笑い方には、長い年月を生きてきた者だけが持つ深淵な意味が込められている。
「私はただ見守るだけ。愛し方を知るには短すぎるし、憎しみを手放すには長すぎる……その儚くも美しい一生ってやつをさ」
彼女がゆっくりとグラスを傾けると、深紅の液体がその喉を通り過ぎていった。まるで刹那の命の煌めきのように。
ふと目に入ったのは新入りのホストだ。慣れない装飾品を所在なさげにいじっている。
「若さっていうのは愚かさね。死ねもしないのにヒトに恋をするなんて」
彼女は肩を竦めた。
「結局独りこの世に残されて……今度は人間になりたいって?」
やがてクラブの扉が開き、ネオンの光がアリカの美しい横顔を照らし出す。
「ま、どんな物語を紡ごうと結構。たんまり稼いでくれさえすればね。だってわからなくもないもの。知っているわ。死ねない者だけが味わう痛覚にも似たあの味――」
そう云って彼女が優雅に立ち上がると、その言葉もまた『マーメイド』の喧噪に溶けていくのだった。
クラブ『マーメイド』開店前のひと時 より
◆◆◆歌詞◆◆◆
朽果てる皮袋(ひのう)の仮住まい
繰り返す昨日はらしくない
逝けよ ラミア
塒(とぐろ)の包帯を巻いた心
ざらついた手触り 飢えた瞳
愛されたくて
誰彼構わず身を絡めた
自分さえ愛せない蛇の姫
一人目 欲望に溺れ 金庫破り海に沈み
二人目 絶望に飲まれ 眼を抉り闇に堕ち
三人目 渇望に焼かれ 炎放ち灰と化し
次の餌食 探す君は
突き刺さる言葉 棘を鱗にして
愛と痛みを喰らうラミア
日々嘔吐噴き出すヒステリー
生きようと理由探すミステリー
凍てつく狂気の岸壁も
ひれ伏す矜持で砕かれた
ダイヤのように心刻み飾る
麗しいラミア
約束と神様はいつも空にいて
寄り添った僕ら助けてはくれなくて
美しいもの求め 醜い自分咎め
分け合った孤独で 飢えを凌いだ
沈み切った 最後の夜
抜け殻の 捨て子のような目で
呟いた言葉は
「幸せな物語に描かれて抜け出したい……今この世を」
刹那――飲み干したグラスから命が滑り落ち
「君となら不死身も悪くなかったのに」
物語は君だけ幸せな終わり迎えて
残るは漂白されたガーゼのように
優しく立ち上る儚い煙だけ
さよなら ラミア
朽果てる皮袋の仮住まい
繰り返す昨日はらしくない
逝けよ ラミア
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2024年04月24日