ティアマリア / nyanyannya（大天才P）- SynthV Yuma

君のことまだ何も知らないんだ――
作詞作曲　nyanyannya（大天才P）
イラスト　予感子
歌唱　Synthesizer V AI Yuma

https://www.youtube.com/playlist?list=PLN97vE-trF-Vp_p6VmpuI0__MCA3_ZhI_ ※このシリーズのプレイリスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLN97vE-trF-VBdo7m2bORrEWLqc5Hug6b ※ボカロ曲のプレイリスト
🎙カラオケ音源
https://club-majesty.booth.pm/items/3154475

◆◆◆シリーズについて◆◆◆

短い文章と音楽作品の組み合わせで展開される鉛姫シリーズ「リドル・マーメイド」は心象世界カドワナルカにあるホストクラブ「マーメイド」のホスト「乃愛」の活動を追うことで物語が展開されていきます。音楽作品はそれぞれ彼が対峙した妖怪（あやかし）と呼ばれる女性客をモチーフに描かれ物語に奥行を追加してくことになるでしょう。

◆◆◆ストーリー導入文（フレーバーテキスト）◆◆◆

扉が閉め切られると、筆記音とあとは微かに聴こえる讃美歌だけ。
重厚な家具と絨毯が敷き詰められた書斎で、正装した二人の紳士が書類を取り交わしていた。

「はて？」

老執事のわざと惚けたような答えに、羽ペンを持つ男の手が止まる。
それは家の一切を取り仕切る老獪な家令の振る舞いだ。

「ええ、決済上限です。無制限というわけには――」

男がそう告げると、

「無制限で構いません。……ご心配ですか？　当家の信託基金の利息をご存じなのに？」

老執事は真綿のような柔和な笑顔で答えた。

「これは大変な失礼を。どうかご容赦ください」

流石の年の功。そんな苦笑いを隠すように男はペンを走らせた。
しかし、ある一か所でその手が止まる。

「いかがなされたかな？」

逡巡の意を察したのか、老執事は立ち上がり続けて述べた。

「結構です。どうぞお尋ねください」

その目線の先は、庭園に設けられた応接会場。
一面に飾られた百合の花を縫うように給仕が慌ただしく行き交っている。

男はブロンドを一つ撫でつけ、問いかけた。

「では失礼を承知で一つだけ。なぜあの接客員なのです？　マーメイドでしたか、その……」

言い淀む男に、執事は静かに答えた。

「おっしゃりたいことは承知しております。ただ、奥様もまた人なのです」

そして上等な額に入ったカロタイプ写真に目をやって、

「一目惚れ……とでも申し上げればご納得いただけますでしょうか」

愛らしいような苦しいような複雑な味わいのある表情でそう続けた。

「なるほど。価値観というのは理屈では測れないものです。そのために私どもがおりますから」

すると男は皮肉とも感傷ともとれる微笑みを浮かべながらそう答えた。

キスクァ商会の上級執行部長　クラバート "キャッシュ" アッシュクロフトの回想

◆◆◆歌詞◆◆◆

ねぇ今夜こそ君のこと教えて

君を運ぶ夜は特別
車輪が跳ねゾッとするショウタヰム
天国の栓を抜いたようにラムと天使が堕ちていく

さぁ手を取って
本日はようこそ　冷えた手を温めて
お飲み物はいかが？　どうぞおくつろぎを

今宵も女王さ
みんな審判の日に召されていくように
息をのむ

ヘイヘイお出ましだ　ティアマリア
無敵のエース　切り札
ブラックカード
ちょうだい　心を埋葬した聖母
僕だけの女神様
泡とともに消えていく愛情を

紙切れ一つで数字は踊る
骨まで染み渡るほど

"Ladies & Damsels & Maidens"　（淑女令嬢乙女の皆様）
本日もクラブ「マーメイド」をご指名ご来店いただきまして誠にありがとうございます

トキメキ取り消し無理承知
No.1不死鳥乃愛がご紹介！
今宵は貴女がマーメイド
超超素敵なV・V・I・P！
いい波乗ってんね！（乾杯！）
耳鳴りの天啓（乾杯！）
切り紙の蓮華（乾杯！）
死神も酩酊（乾杯！）

（乗っかれ乗っかれ乗っかれ乗っかれ）

"To the graceful Maria!"　（慈しみ深きマリアに乾杯！）

踊ろうよ君がつけてくれた
お気に入りのこのナンバーを

慎ましい君はシャンパンゴールド
沈黙に酔ってしまう前に

華やかに鳴らせベルを　ショウタヰム！

ヘイヘイ　お出ましだティアマリア
誰もが振り向くV・I・P
古風なドレス　金の糸で夜を編む
運命の女神様

ねぇ教えてよ　ティアマリア
白い手重ね微笑むだけ――じゃなくて

ねぇ教えてよ　ティアマリア
最高で万能で完璧で無口な
君のことまだ何も知らないんだ
死んでること以外

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